科学的根拠に基づいて、ある状態の一般的な患者様に最良の治療の選択肢として提供されるのが「標準治療」です。患者様には、がんの種類や進行の程度にふさわしい「標準治療」が提示されます。まずはこの標準治療について、医師の説明を十分聞き、納得したうえで治療法を選択することが望まれます。
また、がん治療研究の進展により、日々新しい治療法が開発されています。インターネットや報道等で目にすることが多い最先端の治療法ですが、必ずしもこれらの治療が「標準治療」に対し優れているという訳でもありません。
「最先端の治療」は効果や安全性が臨床試験などにおいて検討を重ね、これまでの「標準治療」に対して優れていると判断されれば、その後「標準治療」として取り入れられます。
ただし、新しい治療が標準治療として承認されるまでには多くの時間を必要とします。この間も患者様の治療選択の自由を確保するため、患者様の意志に基づき未承認の治療であっても最先端の治療を「自由診療」として受けることができます。
主治医から説明された診断や治療方針等について納得のできない場合、セカンドオピニオンを受けることで主治医の意見を別の角度からも検討することができます。もしも、同じ診断や治療方針が伝えられた場合でも、病期や治療方法に対する理解を深めることができます。新たな治療法が提案された場合は治療の選択肢を広げることができます。
この場合も、まずは主治医が示したファーストオピニオンをしっかり理解した上で意見を求めることが必要です。逆にかえって混乱を来たし、納得のいく治療選択ができない場合も考えられます。自ら、インターネットや書籍等で情報を求める場合も同様です。
最先端治療による新しいがん治療の選択肢は、「標準治療」を補完する治療の一つとして位置付けております。まずは、がん治療(特に「標準治療」)の正しい認識に基づき、主治医のファーストオピニオンを正しく理解して頂くことが前提です。当院では、この点を大切にひとつひとつ丁寧に患者様やそのご家族に説明を行っております。