抗糖化コラム

ストレスと糖化

老化とストレス

老化とストレス加齢に伴って神経や精神の活動には色々な変化がおきます。健康感を少しずつ失い、身体に異常を感じる頻度も増えてきます。

健康感を少しずつ失い、身体に異常を感じる頻度も増えてきます。やりがいや生きる意欲を失いがちになります。寝つきが悪くなり、夜中に何度か眼をさますようになります。涙もろくなったり怒りっぽくなったり、感情バランスの乱れが生じることもあるでしょう。

ストレスに対して弱くなり、一度ダメージを受けると回復に時間がかかるようになります。ストレスによるダメージの蓄積は中高年期のうつ状態の発症につながります。はじめは軽度のもの忘れであっても、加齢とともに進行して、やがて高度の認知症に発展することがあります。これらはみな精神・神経の老化です。

実は日常生活におけるすべての行為が心身へのストレスになります。ストレスが無い生活は望ましくなく、高齢者では認知障害がかえって進行してしまうでしょう。しかし過度のストレスやストレスがたまった状態は身体に悪影響を与えます。

ストレスが加わるとストレスホルモン(コルチゾール)が分泌されます。これはストレスに対するその場しのぎのホルモンです。コルチゾールが慢性的に分泌過剰になると、動脈硬化を進行させ(血管年齢の老化)、骨粗しょう症を悪化させ(骨年齢の老化)、免疫力を低下させます。またコルチゾールは脳の海馬にダメージを与え、記憶力や認知機能を衰えさせます(神経年齢の老化)。ストレスを甘く見てはいけません。

ストレスが肥満を招く

ここまで、ストレスが加わるとストレスホルモンのコルチゾールが分泌され、さらにコルチゾールが分泌過剰になると様々な老化現象を招くことを述べましたが、「ストレス太り」という言葉があるように、コルチゾールは肥満にも関係しています。

脂肪細胞にあるレセプターがコルチゾールの刺激を受けると、せっせと脂肪を溜め込むようになります。従って同じ量の食事をしたとすれば、イライラしている人の方が、リラックスしている人よりもぐんと太ってしまします。こうして蓄積した脂肪が糖化のターゲットになり、炎症を広げ、メタボリックシンドロームの温床となるのです。

また、血液中のブドウ糖を脂肪に変え、脂肪細胞に蓄積するのはインスリンとお話ししましたが、こちらもコルチゾールのために過剰に分泌してブドウ糖を一気に処理します。すると血糖値がガクンと下がって一時的に低血糖の状態になります。するとこれも前述しましたが、空腹感を感じてイライラする。そしてまた食べる。血糖値が乱高下する悪循環にはまり、糖化が進行するのです。

免疫力の低下が糖化を悪化させる

免疫力の低下が糖化を悪化させるコルチゾールには免疫機能を低下させるという見逃せない問題があります。

コルチゾールには白血球の活動を抑制してしまう作用があるのです。慢性的なストレスは、ガンにかかるリスクを高めるといわれますが、それはガン化したごく初期の細胞を、白血球が未然に退治できなくなることが原因です。

みなさんもストレスを多く感じた時は風邪を引きやすくなったり、回復が遅いなどの経験をしたことがあるのではないでしょうか。また、免疫機能が深く関係する花粉症やぜんそくなどのアレルギー疾患がひどくなることもあります。

体調を崩し、新陳代謝や免疫機能が低下すれば、AGEsの排泄が滞り、糖化は悪化していきます。ですからストレス対策を行うことも、糖化予防には大切なのです。