抗糖化コラム

糖化とアルツハイマー

アルツハイマー病とは

アルツハイマー病とは、脳を構成している神経細胞が通常の老化による速度よりも急に減っていってしまうことで、正常な脳の働きが徐々に失われていき、認知症(痴呆)になっていく病気です。

65歳以上で年齢が高くなるにつれて発病率が増加し、現在日本に約200万人いる認知症患者の約半数がアルツハイマー病患者です。また、10年後には認知症患者数は300万人に達し、過半数がアルツハイマー病患者になると予想されています。

アルツハイマー病は、詳細な原因はまだわかっていませんが、遺伝的な要因に加えて生活習慣(食生活)が深く関係していると考えられています。

アルツハイマー病とAGEs

アルツハイマー病とAGEsアルツハイマー病の原因として、脳内の組織にアミロイドβというタンパク質が蓄積して、脳の神経細胞が死滅すると考えられています。アルツハイマー病の患者さんの前頭葉を調べたところ、健常な老人に比べ、3倍以上も老化物質のAGEs(糖化最終生成物)が蓄積していることが報告されています。

アミロイドβという蛋白が何らかの作用を受けて組織に沈着しやすくなり、それが溜まって脳の神経細胞の死滅を引き起こすという考え方が一般的ですが、糖化がアミロイドβの凝集や沈着を促進、加速させていとも考えられています。

また、糖化によって体内に発生したAGEs(糖化最終生成物)が細胞死(アポトーシス)を引き起こすことも分かっています。

糖尿病を抱えている患者さんがアルツハイマー病になる確率が高いのも、こうした糖化の影響を裏付けていると言って過言ではありません。

このようにアルツハイマー病の発症に糖化、AGEsが大きく関わっていることがわかってきました。つまり、極力糖化を避ける生活を送れば、アルツハイマー病にならないようにはできないまでも発症をずっと遅らせることが可能になるのです。

脳血管性認知症と糖化

脳血管性認知症と糖化アルツハイマー病とは別に認知・機能障害を起こす疾患として、脳血管性認知症があります。脳の神経細胞は情報を伝達するため、隣にある細胞に軸をのばしています。この軸は情報漏れで思考が混乱しないよう「ミエリン鞘」というカバーのようなもので覆われているのですが、認知症の患者さんではここの部分が非常に薄くなっています。

動脈硬化による血流不足で、酸素と栄養が十分に届かないことが原因です。以前にお話ししたように動脈硬化は糖化によって悪化することがわかっています。またミエリン鞘自体が糖化している可能性もあります。

いつまでも若々しく自立した生活を送るためには、糖化させない生活習慣、食生活を実践することが重要なのです。