抗糖化コラム

糖化とNASH(非アルコール性脂肪肝炎)

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)とは

「NASH(非アルコール性脂肪肝炎)」という病気、みなさん聞いたことがありますか?あまり馴染みがない病名かも知れませんが、生活習慣病のひとつで近年大変注目を集めている病気です。

では「脂肪肝」ならみなさん知っていますよね。食事で摂った脂肪は、小腸で脂肪酸に分解され、肝臓に送られます。しかし、糖分や脂質を摂りすぎて、肝臓に送られる脂肪酸が増えると、肝臓で脂肪酸から作られる中性脂肪が肝臓にたまります。また、アルコールの飲みすぎでも肝臓に中性脂肪がたまります。

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)とは皮下や内臓に中性脂肪がたまると肥満になりますが、肝臓にたまると脂肪肝になります。つまり、脂肪肝とは、肝臓がフォアグラのような状態になったといえば、わかりやすいかもしれません。健康な肝臓でも3~5%の脂肪を含んでいますが、5%を超えた場合を脂肪肝といいます。

これまでアルコール性脂肪肝から肝炎、肝硬変、果ては肝ガンへと病状が進行していくことは良く知られていますが、最近はアルコールを飲まない人の脂肪肝からも同じように肝炎、肝硬変、肝ガンへと進行していくことがわかってきました。

NASHとは、アルコールを飲まない人の脂肪肝炎(Non-alcoholic steatohepatitis、通称NASH)のことで、近年のメタボリックシンドロームへの脚光とともに注目されてきたのです。

NASHとAGEsの関係

このNASH発生に至る機序はまだはっきりとはわかっていませんが、脂肪肝に加え、肝臓に何らかのストレスがかかることによって発生するのではないかと考えられています。その有力な原因の一つが、肝細胞で発生したAGEsが炎症を引き起こすことによるものです。

酸化ストレスもその原因のひとつといわれています。

糖と脂肪の摂りすぎ、栄養の偏ったダイエットは避けましょう

糖と脂肪の摂りすぎ、栄養の偏ったダイエットは避けましょう肝臓はエネルギーとして使われなかった余分な糖を中性脂肪に変換して蓄える働きがあります。また食事で摂った脂肪は、胃から小腸に行く間にリパーゼや膵臓から分泌される膵液などの酵素で消化され、小腸から吸収されるのですが、量が多いと内臓脂肪細胞となって溜まっていきます。これも肝臓に取り込まれて、中性脂肪ともども脂肪肝の原因となります。

ですから内臓脂肪型肥満の人、肥満指数BMI(Body Mass Index)が30を超えるような人は要注意です。また、ダイエットでやせた女性でも、栄養バランスを崩し、脂肪肝になる場合がありますので、気を付けましょう。脂肪肝になると約1割にNASH発症のリスクがありますから、大切なことはやはり脂肪肝にならないように気を付けることです。

そのためには糖と脂肪の摂りすぎ、栄養の偏ったダイエットは避けるべきです。また、定期的に医療機関できちんと健康診断を受診し、肝臓のダメージを示すGOT(AST)、GPT(ALT)の値が上昇していないかをチェックしましょう。