抗糖化コラム

糖化と美肌

糖尿病の患者様からわかること

「糖化」が及ぼす肌への影響はとても大きく、美しいハリのある肌を保ちたい人にとって最も避けたい生体反応です。これまでは「抗酸化ケア」が大切とされてきましたが、最近では老化を加速させる糖化についても、いわゆる「抗糖化ケア」が必要なことがわかってきました。

糖化が及ぼす肌への影響とは、どのような状態なのでしょうか?

糖化が進むとコラーゲン線維の弾力が低下して肌のハリがなくなり、たるみの原因となります。また、くすんだ(黒ずんだ)印象へと変化していきます。
例えば、糖化がかなり進んでしまった状態である糖尿病の場合、糖尿病の患者様の肌はハリがなく、たるみ、くすんだ印象を受けます。医師であれば。肌の状態で「糖尿病がどのくらい進行しているか」ということが経験的に判断できるほどです。

糖化で起こる肌トラブル ~たるみとシワ~

column_img_07_01肌のハリを保っているのは、真皮にあるコラーゲン繊維とエラスチン繊維です。この2つの繊維が網の目のようにうまく張り巡らされ、ベッドのスプリングのようになって肌に弾力性をもたせているのです。コラーゲンもエラスチンもタンパク質の一種です。これまでにお話ししてきたように、糖化はタンパク質や脂肪が「糖」と結びついて変性・劣化する生体反応のこと。

つまり糖化による影響が当然出てくるわけです。これらの繊維は上下左右、自由に伸びたり縮んだり、もともとは伸縮性に富んでいるのですが、AGEsは繊維同士を架橋結合といってお互いをくっつけてしまい、伸縮性を阻害して正常の弾力性を失わせ、硬くもろくしてしまうのです。これによって肌のハリが失われ、たるみやシワの原因となります。

また、表皮の弾力を保っているケラチン繊維がAGEsによって劣化され、縮緬ジワの原因となるのです。

これらの繊維は、40歳を超えると代謝サイクルがゆっくりなため、糖化でできた老廃物や変性・劣化してしまった繊維が滞りがちなため、糖化されやすい生活習慣を続けていると加速度的にたるみやシワが増大しますので、注意が必要です。

糖化で起こる肌トラブル ~シミやくすみ~

糖化で起こる肌トラブル ~シミやくすみ~シミの原因はメラニン色素です。これは表皮の基底層にあるメラノサイトからチノシラーゼという酵素を利用して分泌されます。これは本来、紫外線の害から肌細胞を守るための生体防御反応なのです。通常メラニン色素は新陳代謝によって角質層に押し上げられ、古くなった角質細胞と一緒に排出されるのですが、肌細胞が糖化によって影響を受け、AGEsが溜まっていると、この新陳代謝がうまくいかず、表皮に沈着してシミとなって残ってしまうのです。

また、糖化によって生じる老廃物が皮膚の細胞に溜まり、くすみや黒ずみの原因となることで、肌の透明感が失われてしまいます。

色差計で肌の色を調べてみると、AGEsの多い人ほど、赤味が弱く、黄色味が強くなるというデータもあります。これは見た目的に血色が悪く、不健康で透明感のない肌と思われてしまいます。

最初に糖化を表現する言葉として体が内側から「コゲる(焦げる)反応」と申し上げましたが、糖化した肌は同じように、焦げた(くすんだ)状態になります。