抗糖化な生活習慣を語る上で、まず最初に考えなければならないのは、やはり食生活です。前に「糖化の兆候」のところでお話ししたように血糖値を緩やかにあげる食生活をしなければなりません。そこで皆さんに質問です。ちゃんと朝食を食べていますか?
厚生労働省の国民健康・栄養調査(平成22年度)によれば、男性も女性も20代では約30%の人が、30代では男性で約30%、女性で約15%の人が朝食を食べていないという結果です。これは糖化のリスクから考えれば非常に憂慮すべき事態です。
英語で“朝食”を表す言葉として「ブレックファスト(Breakfast)」が使われますが、これを分解すると「Break=破る」「fast=断食」になります。英語では、寝ている時は食事をしない、つまり睡眠時間を「断食時間」と捉えることから「断食時間を破る」は英語で「tobreakthefast」と言い表すことから、起床後の第一の食事を「ブレックファスト(Breakfast)」と表現しているのです。
第一の食事(睡眠という断食明けの食事)と考えると、朝食を摂るということがいかに大切か、ということがわかります。
朝食をきちんと食べている人の血糖値、インスリン、インスリン拮抗ホルモンの変化を上記の図でみてみましょう。血糖値は緩やかな曲線で上昇と下降を繰り返しています。インスリンなどホルモン分泌は適量の範囲で推移して健全であることがわかります。
上記の2つの図を比べると、昼食時の血糖値のピークが朝食をきちんと摂った人に比べて数値が高いのが確認できます。朝食を食べていない人は、低血糖状態が長く続き、血糖を保つためにインスリン拮抗ホルモンが昼食前に大量分泌されているのがわかります。
このような状態で昼食を摂ると、食後の血糖値は通常に比べて高くなります。血糖値が高くなると、血糖値を下げるインスリンが大量に分泌され、急激に血糖値が下がります。このような状態を繰り返し、ジェットコースターのように血糖値や糖代謝に関係しているホルモンが極端に上下しているのがわかります。
その結果、糖化を過度に進めてしまうのです。そしてインスリン、インスリン拮抗ホルモンを分泌している膵臓に大きな負担がかかって、さまざまな病気(糖尿病など)のリスクを高めていってしまいます。
朝食を摂ることがいかに大切か、お分かりいただけたでしょうか?