抗糖化コラム

糖化と糖尿病

糖化が病気の領域にまで達した状態、それが『糖尿病』

血液も糖化します。酸素を運ぶ働きのあるヘモグロビンというたんぱく質が血液中のグルコースという糖と結びついて糖化する現象が1968年に発見されました。以来、この糖化したヘモグロビンを「ヘモグロビンA1C」と呼び、糖尿病の検査では必ずその数値が調べられます。糖尿病が進んでしまうと、この糖化したタンパク質である「ヘモグロビンA1C」の数値が上昇していくのです。

糖尿病とは・・・

「糖化」のもっとも大きな原因は糖分と炭水化物の摂りすぎです。糖分と炭水化物をたくさん食べれば、前回説明したように、血液中のブドウ糖の量は増え、それを細胞に運ぶインスリンも大量に必要になります。

インスリンを作っているのは膵臓のβ細胞ですが、若い時からこのインスリンの無駄遣いをしていれば、40歳を過ぎるころには膵臓のβ細胞も疲れ切ってしまいます。徐々にインスリンの質が低下し、効きが悪くなるので、さらにたくさんインスリンを作らなくてはならなくなって、最後には力尽きて分泌不能になってしまうのです。
これによって血液中のブドウ糖は処理されないままあふれ、それが血糖値の上昇となって表れるのです。

糖尿病とは糖尿病の診断基準は空腹時血糖が110未満を正常、110~126未満を境界域、126以上を糖尿病としています。またヘモグロビンの糖化度を示すヘモグロビンA1cも診断基準に使われ、6.5%以上は糖尿病を疑います。

ただし、これらが正常値でも、食後血糖値が200を超える人、インスリンの血中濃度が高い人は要注意です。インスリンが過剰分泌されている人は、先ほどの説明のように体内で糖化が着々と進んでいる可能性があります。

またインスリンによって、ブドウ糖がどんどん脂肪に変換され、脂肪細胞に蓄えられますから、肥満の問題も出てきます。

糖尿病の治療は食事制限と運動療法による血糖値のコントロールを行います。症状によってはインスリンを投与する必要もでてきます。

深刻な糖尿病合併症

深刻な糖尿病合併症糖尿病の悪化、つまり糖尿病の合併症こそが糖尿病の本当の怖さと言えます。糖尿病と診断されても、最初は自覚症状がないのというのが普通です。

なので、適切な食事や運動を怠りがちになり、知らず知らずのうちに血液中で加速度的に糖化反応が進んでいってしまうのです。

こうした合併症は、音をたてずに“そぉーと”忍び寄ってくるのです。これが糖尿病の真の怖さと言えるのではないでしょうか。

次に、糖尿病の合併症がどれほど多くの問題を引き起こしているのか。その現実について触れたいと思います。

  • 糖尿病性神経障害によって下肢を切断 → 年間約10,000人
  • 糖尿病性網膜症による高度の視力障害 → 年間約4,000人
  • 糖尿病性腎症による人工透析 → 年間約14,000人

さらに糖尿病は血管を脆くさせてしまい、その血管障害によって糖尿病患者さんの40~50%が脳梗塞や心筋梗塞等で亡くなってしまうのです。

糖尿病は悪化すればするほど老いのスピードは増し、さまざまな病的な老化現象をも引き起こしてしまいます。まさに負の連鎖であり、糖尿病患者の平均寿命は日本人の平均寿命と比較して、男性で9.6年、女性で13年も短いのです。

私たちは糖化によって起こる、さまざまな病気の元凶である糖尿病を予防していく必要があります。日本には糖尿病とその予備軍は約2,200万人いると言われています。医療財政のひっ迫は深刻の度を増すなか特に糖尿病はその悪しき牽引者であり、糖尿病の予防は、国を挙げて取り組む喫緊の課題と言えます。