骨粗しょう症は骨折のリスクが7倍以上も高まる怖い病気です。骨粗しょう症は「骨強度の低下を特徴とし、骨折リスクが増大する骨格疾患」と定義されており、骨の「量的要素」だけでなく、「質的要素」も重要と考えられているのです。“骨強度=骨密度+骨質”質的要素とは、いったい何をさすのでしょうか?それは骨の主要な構成成分であるコラーゲンの質とも言えるのです。
コラーゲンは骨を形成しているタンパク質の一種で、骨の体積あたり50%を占める主要な繊維タンパクです。また、コラーゲン繊維は骨と骨の間(軟骨)にも多く含まれており、肌の構造と同じように繊維同士は架橋結合という結合をしてクッションの役割を発揮しています。この架橋結合には、骨強度を高める「善玉の架橋結合」と骨を脆弱にする「悪玉の架橋結合」があるのです。
つまり、骨密度以外に骨強度に影響を与える因子として、骨質の重要性が論じられるようになってきたのです。
骨をレントゲンで良く見てみると、骨の中に網目のような繊維が張り巡らされているのがわかります。これは骨梁といって、ちょうど鉄筋コンクリートの鉄筋にあたるものだとイメージするとわかりやすいでしょう。これがコラーゲンでできているのです。
糖化が進みやすい食生活、生活習慣をしていると「悪玉の架橋結合」が過剰に形成され、コラーゲンの役割は失せてしまい硬くて脆(もろ)い状態へと劣性変化してしまいます。骨粗しょう症は日本には1,000万人いると言われている典型的な老化現象であり、誰もがなってもおかしくない病気のひとつではないでしょうか。特に骨粗しょう症の約80%は女性です。女性は更年期をむかえるとホルモンの低下とともに骨密度が急激に下がる傾向があり、骨粗しょう症のリスクが高くなるため閉経前からの定期的な骨密度検査をおススメします。
このように加齢とともに進行しやすい骨粗しょう症を予防するためには、糖化を過度に進めるような食生活を控え、コラーゲンの材料となるたんぱく質をはじめバランスの良い食事を心がけることが大切です。また、骨の材料となるカルシウムなどのミネラルをしっかり骨に沈着させるために、軽い運動(ジョギングやウォーキング)など骨に長軸方向の刺激を与える運動も大切です。
膝が痛くて正座できない、階段の上り下りが膝の痛みでつらいなどの自覚症状のある方は、変形性膝関節症の可能性があります。これは膝の関節の中でクッションの役目を果たす関節軟骨が加齢とともにすり減っておこるものです。
このため、大腿骨と脛骨が直接こすれあって変形し、関節内に炎症と強い痛みが発生するのです。
関節軟骨の主成分はコラーゲンです。このコラーゲンが糖化されると一層軟骨は弱くなり、痛みがひどくなります。膝には普通に歩くだけで体重の3倍、走ると5倍の荷重がかかるといわれています。肥満気味の人は当然負担は大きくなります。さらに運動不足で足腰の筋力が弱まれば、関節軟骨は耐えられません。
再生医療などの研究は進んではいるものの、現状では軟骨を再生させることはできないのが現状です。ですからやはり予防が大切になります。そのためには、糖化しない生活習慣を実践し、運動などで筋力を低下させないことが大切になってきます。